ドッペルゲンガー!もう一人の自分・・
ドッペルゲンガーとは、ドイツ語で「二重に出歩く者」という意味ですが・・
もっと簡単にダブル(分身、複体)ということもあります。これは「もう1人の自身」に会ってしまう一種の心霊現象で、
現代の精神医学用語では、オートスコピー(自己像幻視)というようである。
ドッペルゲンガーを見てしまった人の末路は悲惨で、たいていは死を迎える。
ある場合は数日から1年以内に徐々に体調をくずし、あるいは精神に支障をきたして死を迎える。
または、自分自身を見てしまったショックで心臓麻痺を起こして即死するとも言われる。
・・これに対処できる有効な手段は、残念なことにないようだ。
ところが!パパさんはもう一人の自分を見ているのだ~(ーー;)
あれは・・もう少しで30代に手が届くころの話で、元気満々の私は夜になると千歳の繁華街を徘徊するのが日課だった。
夜の9時ころだったか、檀家(行きつけの店を檀家と言う)が何軒か有るのでだいたい何日かに一度
順番に回るのだ。一週間ぶりにスナック・Aに行き「おはよ~」と夜の挨拶をしながらドアを開ける
「あら、いらっしゃい」と店のママが出迎えた、次の言葉が「珍しいわね?二日れんちゃんで来るなんて」
・・?「えっ、昨日の夜は家に居たよ」・・「ママ、飲みすぎてボケて来たんじゃないの?」
二人で目と目を合わせ、(あまりにもウソっぽい冗談を言ってるわ?)と互いに探り合う・・
一分近くもお互いの顔を見合ってただろうか・・突然「ぷっ!」とママが笑い出す。
「もう、変なこと言わないでよ、私も一瞬、自分がボケたかと思っちゃわ」
「昨夜は10時ころ一人で来てうちのB子ちゃんと楽しそうに話してたでしょう」
「あら、B子ちゃんもそろそろ出勤してくる時間ね、冗談は終わりにして、今夜は何飲むの?」
・・私の顔がだんだん青く成るのを店の準備に追われたママは見過ごしていた。
飲み物が運ばれ、B子ちゃんも目の前に居る!私は注がれたビールを一気に飲み干し深いため息をついた・・
「あら、昨日もケッコウ飲んでたのに今夜も元気だね」とB子は言った。
「オレの頭がおかしくなっているのか?」独り言をつぶやく・・脇から汗が下に伝わって行く
「何がどうなってるんだ?」思考回路がショートし、全ての事が理解不能の状態に陥る。
「そいつは誰だ?自分ではない!オレは夢遊病者になったのか?」そんなことは無い、昨夜は疲れが溜まっていて10時前には寝ていた・・
まてよ・・よく考えると最近、友人や知人などに「あそこで見たよ」とか「昨夜、清水町で飲んでたっしよ」などと身に覚えの無いことを言われるのを思い出した。
その時は「オレに似てるヤツだって居るさ」と聞き流していたが・・
「そうか!オレにそっくりな奴がオレのふりをしてるんだ!」この結論しかない、絶対探してやる!
・・それから何週間が過ぎたある日、仕事も終わり夏の暑さもひと段落し心地の良い秋の夜風に誘われるように夜の街へと足を進める・・
「とりあえず居酒屋でも行って一杯やるかぁ」つぶやきながら清水町の中ほどで何気なく横を見ると
細い路地に数軒の飲み屋がひしめき、気の早い店主が看板の蛍光灯を灯し開店準備をしている、
「うっ!」その路地を一人で歩く男の背中に目が釘付けになる、チラリと横顔が見えた・・こちらを横目で見てニヤリと笑ったようにも見える。
「あっ、顔がオレに似てる!」半そでの白っぽいワイシャツにネクタイ、服装も同じだ!
とっさに早足で追いかける、距離が縮む「呼び止めるか!でも人違いだったら面倒だ」心の葛藤が始まる、
2~3メートルの間隔を空けついて行く、男は路地を抜け曲がった、大きな通りへ出たのだ・・
「あれっ?」男の背中が見えない、左右を見わたす「いない!」
時間が早いせいか他の人影も全く無い、大きな通りといっても車がやっとすれ違えるほどの道幅しかなのだ。
「隠れたか?」二階の店舗などへ上がる入り口は隠れるのに都合がいい、何軒かの階段も上がって調べる・・居ない!
「消えた?」・・この目撃談から、ぷつりと「このまえ見た」と誰も言わなくなった。